日産自動車のカルロス・ゴーン社長が、九月中間決算の発表を控えて、業績回復のPRに懸命だ。 九月二十八日、自動車ショー出席のため訪れたパリでのアナリスト説明会で、北米での自動車販売が見通しより好調、「リバイバルプラン」の予定を上回るコスト削減が進んでいることなどを強調した。この発言が外電で日本にも伝わり、翌二十九日の東京市場では日産株に買い注文が殺到、東証トップの大商いとなり、株価も約三カ月ぶりに六〇〇円台を回復した。 ところが、週明けの十月二日には利食い売りのほか「ゴーン発言」への疑心暗鬼も広がり、再び六〇〇円を割り込んだ。ゴーン社長は翌三日、今度は東京本社でアナリスト説明会を開催。パリとほぼ同様に強気の発言を繰り返した。これを受け、同日の日産株は六〇〇円台を再び回復。アナリストによる業績見通しの上方修正も相次ぎ、五日には六六〇円と年初来高値を更新した。 しかし、ある有力アナリストは「確かに短期的な業績は回復するだろう。しかし、国内やユーロ市場はぼろぼろだし、将来性のある優良子会社まで売り払っている」と厳しい見方をしている。

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