昨年十月にインドネシア史上初めて民主的な手続きで選出されたワヒド政権だが、発足直後からワヒド大統領の身内の「腐敗、汚職、親族重用」などのいわゆる「KKN」問題が指摘されていた。ところが、唯一クリーンなイメージを保ってきた民主化運動のシンボルで故スカルノ大統領の長女メガワティ副大統領の側近にもこの問題が持ちあがり、副大統領は窮地に追い込まれている。 現地マスコミが追及しているのは、メガワティ副大統領の夫で国会議員のトフィック・キマス氏。疑惑は、国民に絶大な人気を誇るメガワティ副大統領の元に陳情に訪れる支持者や支持団体に、キマス氏が「賄賂」を要求、私腹を肥やしているというものだ。副大統領は、最近までこの事実を知らなかったようで、マスコミの論調に平静を装っているものの「妻の立場か、政治生命か」の選択を追られ苦悩しているという。 さらにスハルト元大統領時代に汚職の疑いをかけられた実業家アリフィン・パニゴロ議員、東ティモール駐屯時代に人権侵害事件に関与していた疑いが濃厚な退役将軍のテオ・シャフェイ議員など、他にも“怪しげな”側近がいることが副大統領の悩みを増幅している。

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