ユーゴスラビアのミロシェビッチ前大統領が「民衆革命」のさ中、国外亡命のため連邦政府の金塊を持ち出そうとしたが、事前に発覚し、その結果亡命を断念したとの有力情報が流れている。 ベオグラードの消息筋によれば、ミロシェビッチ氏が金塊持ち出しを図ったのは、大統領選挙でのコシュトニツァ氏(新大統領)の当選を認め、同氏と会談した十月六日。配下の秘密警察を動員してベオグラードの中央銀行地下から大量の金塊を運び出し、同日深夜ベオグラードから北京に向け出発予定だったユーゴ機に運び込む作戦だったが、野党勢力側に秘密が漏れ、実行できなかったという。 前大統領の長男マルコ氏がモスクワ経由で中国入りを果たそうとしたのも金塊秘密輸送作戦と絡んでいたらしい。マルコ氏は北京の空港で中国当局に入国を拒否されたとされているが、実際は金塊が到着しないことに失望、自らの意思でモスクワに戻ったといわれる。 ミロシェビッチ氏はスイスの銀行に多数の借名口座を持っていたが、ほとんどが凍結され、最後の“亡命資金”が金塊だったようだが、持ち出しが失敗に終わったことから国内残留のやむなきに至ったようだ。

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