ユーゴスラビアの“民衆革命”を成功させる大きな原動力になったのは、米国や北大西洋条約機構(NATO)諸国のさまざまな圧力というより、実はドイツのシュレーダー政権による対ユーゴ野党勢力支援だったとの見方がある。 ベオグラードの外交筋によれば、シュレーダー政権は昨年暮れ以来、コシュトニツァ氏(新大統領)の民主セルビア党など十以上の反ミロシェビッチ派政党や政治団体に対し、数千万マルク(数十億円)の資金援助のほか、外交、政治的サポートを行なっていた。 さらにドイツ政府は、コシュトニツァ氏に近い政治家や反ミロシェビッチ派の元軍幹部らを秘かにベルリンに招き、過去の「東欧革命」の詳細なデータを基に反体制運動の戦術や宣伝方法、各国からの支援取り付けの根回しなどについて伝授したという。 ドイツ政府の中でも、フィッシャー外相はユーゴ野党勢力の“ドイツ留学組”と親交があり、「反ミロシェビッチ派を支援することが、かつてユーゴで行なわれたナチスの暴虐に対する罪滅ぼしになる」と主張、これがドイツによる支援を決定づける要因になったとみられる。

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