韓国と北朝鮮との雪解けムードをまず最初に盛り上げ、南北和解の象徴とされる金剛山観光事業が、深刻な赤字に陥っていることが明らかになった。 現代グループの総帥、鄭周永名誉会長(当時)が訪朝して北朝鮮の金正日総書記との間で合意し、九八年十一月から始まった金剛山観光事業は、その経緯から韓国一の財閥である現代グループが独占運営する。今年六月までに外国人三百五十二人を含む約二十五万九千人の観光客を集め、総額六千二百万ドル(約六十六億円)の収益を上げた。しかし、それに対する支出は、施設投資が約一億ドル、独占契約料一億七千万ドルなど、三億ドル以上にのぼる。金剛山事業は、十九カ月で二億四千万ドル(約二百五十七億円)という巨額の赤字を生み出している。 韓国側が支払う独占契約料は、事実上、金正日総書記にわたっているとの説もある。いずれにしても、相当額が軍事費用に使われている可能性が高い。金剛山観光事業に対する韓国内の注目も、当初とは違い、徐々に低くなっている。現代グループは資金難による経営不安が燻っているものの、南北和解の象徴ゆえに事業継続を余儀なくされている。

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