対中国・北朝鮮外交はかくあるべし

執筆者:伊奈久喜2000年10月号

変化が見え始めた中国、北朝鮮に対する外交はどう進めるべきか。最も大切なのは日米韓の結束を維持し、原則を崩さないことだ。 ロンドンに本部を置き、ミリタリー・バランスの発行元としても知られる国際戦略研究所(IISS)の年次総会が九月中旬、マニラで開かれた。IISS総会のアジアでの開催は三年ぶりである。 IISSに集う安全保障研究者の関心は、冷戦時代は米ソ関係がほとんどすべてであり、冷戦終結後も、欧米の視点が誇張される傾向がある。 しかし、マニラ総会を企画するに当たってジョン・チップマン所長らIISS事務局は、テーマをアジアに絞った。絞りきれないほど多くの安全保障上の問題がアジアにはあるからだ。 中国の内政・外交、中台関係、日本の内政・外交、朝鮮半島の南北関係、インド・パキスタン関係、ミサイル防衛のアジアへの影響、インドネシアの民主化、環境とアジアの安全保障、アジアにおける国家安全保障と人道介入――などが分科会の議題となった。 すべて単なるアジアの問題ではない。影響はグローバルに及ぶ。このうち東アジアに位置する日本にとって特に重要なのは、中国であり、朝鮮半島である。ともに八月、日本との間で重要な出来事があった。

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