ホンダ研究開発の底力

執筆者:加納修2000年10月号

航空機やロボットの開発からゴキブリの動きまで研究する懐の深さ 世界的な自動車業界再編の嵐が吹き荒れた中で、国内メーカーとしてはトヨタ自動車とともに、外資とのグループ化に頼らず、単独生き残りを決めた本田技研工業(ホンダ)。GM、フォード、ダイムラークライスラーなど、居並ぶ欧米メーカーと比較すると小粒ではあるが、保有する技術開発力には、むしろ巨大メーカーをはるかに凌ぐ内容のものがある。とりわけ「航空機」や「ロボット」開発など、二十一世紀に向けて、単に自動車メーカーとしてだけではない、新たな生き残りの方向性を打ち出し始めている。 ホンダのR&Dの“実力”とはいかなるものか、検証してみたい。航空機で競うトヨタとホンダ「本田技研、ジェット機開発」――そんな見出しが躍ったのは、十月十一日(産経新聞夕刊)。ホンダが単独で小型ビジネスジェット機の開発にメドを付け、今後試作機を製造して、ゆくゆくは事業化も検討しているという内容だ。同社は米関連メーカーと提携し、専門の開発拠点をノースカロライナ州内の国際空港に設けたという。 日本にはもともと、「ゼロ戦」に代表される高い航空機開発力があった。しかし戦後、技術力の高さに恐れを抱いたGHQが新規開発事業の停止を命じ、その後七年間は、一切の航空機開発関連事業が道を閉ざされることになる。いわゆる「空白の七年」だ。

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