避けて通れないファミリー企業の清算「若い世代に新しい時代を切り開いてもらう」。十月十日、ダイエーのオーナー、中内功会長は記者会見でこう切り出し、会長辞任と代表権のある取締役最高顧問への就任、来年五月末の完全(取締役)引退を表明した。 三日後の十三日には代表権の返上と長男・潤氏の取締役引退も決まり、鳥羽董社長らによる関連会社株のインサイダー取引疑惑に始まった「騒動」は、創業家中内一族の退陣に加え、財務リストラの旗振役だった鳥羽氏の取締役への降格で、会長、社長が空席となる異常事態に発展した。連結決算適用を来年二月に控え、負の遺産処理は待ったなし。利益率の低下に伴う本業の早急な立て直しも必須で、ダイエーは創業以来、最大の危機を迎えたと言える。 内定している高木邦夫顧問の社長就任は来年五月。それまでの半年間は、トップ不在のまま佐々木博茂副社長を中心とした集団指導体制を取る。どう考えてもそんな悠長な状態が許される状況ではないが、事態の経過を振り返ると、二兆円を超える負債を抱えたダイエーの「最大の担保」と言われてきた中内氏が、実はダイエー再建の最大のネックに他ならなくなったという構図がほの見える。

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