日本赤軍最高幹部、重信房子の逮捕の裏に、中国への配慮があったのではという見方がある。外交筋によると、重信の北京潜伏を最初に確認したのは米中央情報局(CIA)で、時期は今年初め頃だった。連絡を受けた日本の治安当局は、重信の追跡を開始、夏頃には行動を捕捉していたとされる。外交筋は、「逮捕の機会は今年夏以降、数回はあった。それがこの時期に逮捕したのは外交上の思惑」と解説する。同筋によると「中国政府が何らかの形で重信の活動に関与していた可能性が強いことが影響した」というのだ。 日本赤軍は、中東での足場を失い、岡本公三がアラブの英雄として個人的に注目されているだけというのが現状だ。こうした中、重信は北京、香港、マカオなどで活動していた。「北京駐在の米CIAが察知できたものを、中国政府が知らなかったとは考えにくい」(外交筋)という。それだけに、逮捕は、少なくとも十月の朱鎔基首相来日後にする必要があったのだという。一方、逮捕以後、日本の治安当局からは重信が北朝鮮のよど号犯と接触したとの情報がリークされているが、「重信逮捕を対中国、対北朝鮮への外交上の牽制材料にする思惑があるのでは」(外交筋)という指摘もある。

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