「逆ザヤ」を帳消しにしても「解約ラッシュ」に襲われる まさに「ドミノ倒し」のように、生命保険会社の経営破綻が続いている。今年に入って、五月の第百生命、八月の大正生命に続き、十月には千代田生命、戦後最大の負債総額というおまけまで付いて協栄生命が倒れた。 いずれの生保も、バブル崩壊後に長らく「破綻予備軍」と名指しされていた常連ではあるが、万一の保障を託す保険会社の破綻は、契約者の人生設計を直撃するだけに、不安心理に拍車がかかっている。「次はどこか」という新たな標的探しが、解約などに連鎖的につながる悪循環に陥り、大手も安穏としてはいられない危機的状況だ。 生保各社はバブル崩壊後の超低金利政策の継続により、加入者から預かった保険料の運用利回りが、契約時に加入者に約束した予定利率を下回る「逆ザヤ」に喘いでいる。九九年度には十四社合計で年間約一兆五千億円の逆ザヤ処理を迫られた。これに株価・地価下落による資産劣化がダブルパンチとなって、破綻への坂道を転げ落ちている。 金利の高かったバブル期の予定利率は年五・五%。最近の個人年金保険などの新規契約分の予定利率は年二%程度。かつては会社の自主的な判断や、大蔵省の命令という形で、既契約の予定利率の引き下げも可能だったが、一九九六年四月に施行された改正保険業法では、保険会社自らが破綻を申請しない限り、契約途中で予定利率を変えることが出来なくなった。バブル期に高い金利をエサに積極的に貯蓄型保険を集めた保険会社ほど、傷口が大きいことになる。

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