ロシアのプーチン政権が、人口減少問題の深刻さを重視、長期的な打開策の検討に着手した。ロシアの人口は一九九二年から現在まで三百万人減少しており、二〇一五年までに、さらに一千万人近くも減少する見通し。昨年は男性の平均寿命が初めて年金支給年齢を下回った。今後、十五年以内に、ロシアの人口は世界六位から十四位に転落することになり、経済活動や軍事力に重大な影響を与える懸念がある。 ロシア政府が練っているのは、人口減少を防ぐために、旧ソ連諸国からのロシア人流入を促進する計画だ。ロシアはこれまで、旧ソ連諸国に住むロシア人を各国への影響力の維持に利用してきたが、背に腹はかえられない状況に追い込まれた。しかし、こうしたロシア人は、労働力を必要としているシベリア地域ではなく、モスクワなどへの移住を望んでおり、都市部の住宅事情がさらに悪化する恐れがある。また、優秀なロシア人は各国で十分な生活基盤を整えているため、それぞれの国を離れたがらない。無条件で人口流入を促進すれば、カフカス系など非ロシア系の移住が増え、ロシア国内の民族間の緊張を高めることになりかねない状況だ。

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