「独立行政法人制度」の落とし穴

執筆者:田中一昭2000年12月号

行政改革の「目玉」として注目される同制度。しかし、このままでは「特殊法人」の二の舞になりかねない可能性をはらんでいる。 あと半月で中央省庁は再編され、一府二十二省庁が一府十二省庁になる。これは総理大臣ほか国務大臣をそのトップにいただくことになる省庁の数である。 二〇〇一年一月六日には、省庁再編と合わせて、もう一つの改革である「独立行政法人制度」がスタートする。文部科学省所管の「独立行政法人教員研修センター」(一月六日移行)を皮切りに、五十六の法人が四月に独立行政法人に移行するのだ。造幣局、印刷局、国立病院・療養所など、若干時期はずれるが移行が決定済みのもの、国立大学など、移行するかどうか検討が始まっているものもある。 一方、与党三党は特殊法人の抜本的な改革を検討、政府に対し、平成十三年度中に、廃止、民営化、独立行政法人化などの方針を定め、平成十七年度までに措置を行なうことを求めた。さらに、自民党行政改革推進本部は公益法人改革の一環として、検査や資格認定などの国の業務を代行する法人を独立行政法人化する案などについても検討。十二月一日に閣議決定された行革大綱に盛られたこれらの改革案では、独立行政法人化が行革の打ち出の小槌であるかのように扱われている。

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