Q.14 日本の銀行に女性頭取は誕生するか

執筆者:小暮史章2000年12月号

YES 20% イエス二〇%。既存の大手銀行での可能性はほとんどないが、異業種からの参人組や資産運用ビジネスでは女性の進出が加速しよう。 大手の銀行や証券会社は女性の幹部登用が最も遅れたビジネスである。都市銀行では女性取締役どころか、企画部や営業部など主要ポストでの女性部長も存在しない。十年後もこうした状況に変化はあるまい。十年後に部長や役員適齢期となる三十歳代後半から四十歳の層に、女性の幹部候補生が目に付かないからだ。大手証券の部長、役員年齢は銀行より五歳程度若いが、状況は都銀の場合と同様である。 中央官庁と比べても、日本の金融機関の女性登用は明らかに遅れている。労働省ではすでに、女性事務次官が誕生している。中央官庁では女性の局長も珍しくない。そう、大阪府にも通産省出身の女性知事が誕生したことを忘れてはならない。 官庁の場合は、一九八六年に成立した男女雇用機会均等法の精神を、ある程度守っている結果だろう。これに対し、長期勤務と組織忠誠を基礎とした「金太郎飴組織」の典型である金融機関には、異物である女性を受け入れる余地が乏しかったともいえる。 だが、金太郎飴組織は着実に溶融しつつある。バブルの発生のみならず、その崩壊過程での失敗は、組織行動の自動修正が不可能になっていることを示す。興味深いことに、金融界でも個人の分析力や創造性が問われる調査部門では女性の進出が目覚ましい。

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