加藤紘一元幹事長の反乱が不発に終わり、省庁再編に伴う内閣改造は大きな波乱はなかったように見える。だが、一連の政局の陰で、実はもう一つの「政変」が進行していた。永田町筋によれば、焦点になったのは扇千景建設相(保守党党首)の処遇。保守党内には、閣僚留任、国土交通省初代大臣のポストと引き換えに、党首交代を強行する動きがあったという。 仕掛けたのは、野田毅幹事長と二階俊博国対委員長。同筋によると、両氏は自民党の野中広務前幹事長らとともに、扇党首の「閣内棚上げ」を画策、野田党首、二階幹事長体制を実現して、来年夏の参院選までに自民党との合流を目論んでいたという。扇党首は、来年夏の参院選で改選となるために、「党首、閣僚、候補者の三役は無理」といった声も、タイミング良く保守党内からリークされた。 一方、扇党首サイドは、自民党との合流よりも、自由党を率いる小沢一郎党首との「復縁」を視野に入れているとされており、野田氏らの動きにしぶとい抵抗を見せた。ある関係者は「保守党内の相当数は、いまだに小沢シンパ。野田党首のもとでの自民合流となれば党は空中分解する。野田氏もそこまでは踏み切れなかった」と解説する。 結果は、扇党首の「粘り勝ち」に終わったが、永田町では「いずれにせよ閣僚人事なんてこんなもの。日本の政治は二十一世紀も変わらない」と指摘する声もあがっている。

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