Q.6 日本で首相公選制は実現するか

執筆者:田代準三2000年12月号

NO 80% 東京新聞の十二月二日付朝刊に興味深いアンケート結果が掲載された。異例の法廷闘争にもつれ込んだ米大統領選を引き合いに、日本の首相選びの在り方について、国民投票で決める公選制に変えた方がいいか、現行の国会議員による間接選挙のままでいいか、読者百人に電話インタビューした結果、七十二人が公選制を支持したという内容である。 支持した人の多くが「密室でなく、オープンになる」「国民の意思が反映される」ことを理由に挙げており、「現状へのいら立ちがいかに大きいかを示す」と記事は分析している。 調査が行われたのは、「いくら自民党議員であっても、国民の七五%が反対する内閣を信任することは簡単にできない」と加藤紘一元自民党幹事長が「森おろし」に立ち上がった直後の十一月第三週。加藤氏の決起により、あらためて「永田町と国民のズレ」に国民の関心が向かった時期だ。その後、加藤氏の乱は主流派の切り崩しの前にあっけなく腰砕けに終わる。「現状へのいら立ち」はいよいよ高まっていると見るべきだ。政治不信の緩和、政治への信頼回復のためにも、公選制導入は国会で真剣に検討されていい段階に入っている。 国会議員もそのことを自覚しているのだろう。「新しい日本をつくる国民会議(二十一世紀臨調)」(亀井正夫会長)が十一月三十日に発表した国会議員アンケートの結果によれば、回答した三百五十三人のうち、過半数の五四%が首相公選制を「前向きに検討すべきだ」と回答。その中心を自民、民主両党議員が占めた。実際、二〇〇〇年の動きを追ってみても、故小渕恵三前首相の私的懇談会「21世紀日本の構想」が一月に提出した最終報告書に「首相公選制の是非も議論を始めるべきだ」とうたい、二月には「首相公選制を考える国会議員の会」(会長、山崎拓元自民党政調会長)が五年ぶりに活動を再開。その主要メンバーでもある民主党の鳩山由紀夫代表は、六月の衆院選の民主党の選挙公約に「首相公選制の導入検討」を明記させ、二年後をめどに公選制導入を目玉とした憲法改正試案を民主党としてまとめる考えまで示した。

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