Q.4 インドネシアは分裂するか

執筆者:田畑昭2000年12月号

YES 60% インドネシアでは一九九九年の東ティモール独立決定が各地の分離・独立運動に火を付け、現在、「国家統一維持が重要な課題」(ユドヨノ政治・治安担当調整相)という状態だ。世界的な民族自決の機運はインドネシアにも押し寄せ、「第二の東ティモール」がこの十年に出現する確率は高いと見る。 東西の長さはアメリカ合衆国の東海岸から西海岸よりも長く、しかも陸続きではない群島国家のインドネシア。国家独立の概念は「多様性の中の統一」だが、言語数で分類すれば民族は二百五十以上もあり、スマトラ島北端のアチェ民族とニューギニア島のイリアンジャヤに住むパプア民族は見た目から生活様式までまったく異なる。さらに、交通、通信が十分発達していないことが民族・文化の融合を阻んできた面もある。 半面、ジャワ島での人口集中を避けるため、オランダ植民地時代からジャワ島以外の外島への人口移住政策が取られてきた。ところが一九九九年から二〇〇〇年にかけ東カリマンタン州(カリマンタン=ボルネオ島)やイリアンジャヤ州では先住民族と移住民族との対立が流血の抗争に発展。九九年一月以来、四千人以上が犠牲になっているマルク地方(同国東部)でのイスラム教徒とキリスト教徒との宗教抗争という悲劇も生んだ。移住政策の歴史はすでに百年近くあるのに、ここへ来て民族間紛争が多発しているのは、ユーゴスラビアに見られたような民族自意識がインドネシアでも噴き出したためと見るべきだろう。

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