あまりに絶望的な司法制度改革

執筆者:矢吹信2000年12月号

 司法制度改革審議会(会長・佐藤幸治京大教授)が十一月二十日、中間報告をまとめた。残念ながら中間報告は「改革」とはほど遠い代物で、「国家百年の計」の機会は台無しにされたと言わざるを得ない。民間研究団体・司法改革フォーラム(会長・鈴木良男旭リサーチセンター社長)が声明を出し、中間報告を「羊頭狗肉」と切り捨てたのも当然の内容だった。「(司法改革が)課題設定されたのはなぜであろうか。それは、(中略)個人の尊重と国民主権が真の意味において実現されるために何が必要とされているのか、これらの根本的課題を(中略)改めて直視し、それに取り組むことなく、二十一世紀社会の展望を開くことが困難であることが痛感されているからにほかならない」「法曹が、法の支配の精神を浸透させていく木鐸(案内人)として、そして『国民の社会生活上の医師』として、司法制度の直接の担い手となるのみならず、より広く社会の様々な分野においても活躍することが期待される」 全六十六頁の中間報告のうち前半では、憲法学者でもある佐藤会長肝煎りの格調高い文章が延々と続いている。こうした問題意識に異論はない。ところが、肝心な論点を精査してみると、いずれも「法曹ギルドの妥協の結果」としか思えない。

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