キューバのカストロ政権が昨年末に中露両国と軍事的に急接近、ブッシュ新政権となった米国がにわかに警戒を強めている。 ロシアは昨年十二月に、セルゲーエフ国防相が二〇〇一年に関してのロシア・キューバ軍事協力条約に調印。一方、中国も前後して傅全有・総参謀長をキューバの首都ハバナに送りこみ、カストロ政権と軍事協力条約を締結した。中国人民解放軍総参謀長のキューバ訪問は初めてで、そのうえ軍事条約締結となれば米国は緊張せざるを得ない。 この時期に中国がキューバとの軍事関係強化に乗り出した理由について、在京の中国観測筋は、「対台湾軍事支援を強調するブッシュ政権を牽制するため」と指摘する。だが、対中強硬姿勢が予想されるブッシュ政権だけに、あえて米国の裏庭にあるキューバに軍事支援を約束した中国の選択は、場合によってはワシントンを激怒させる危ない火遊びになることも考えられる。 おりしも、一九六二年にケネディ政権下で発生したキューバ危機を描いた映画「13デイズ」が公開され、話題を集めている。映画を地で行く可能性を秘めた、北京―ハバナ枢軸の行方からも目が離せない。

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