昨年の五輪開催で一時なりをひそめていたオーストラリア・シドニーの麻薬、売春など闇ビジネスの縄張り争いが再び激化、ギャング同士の犯罪や抗争事件が増加している。 ニューサウスウェールズ州警察のピーター・ライアン長官はこれまでの中国系、ベトナム系、レバノン系のギャング組織に加え、新たにロシア系組織が飲食店の経営を通じて進出していることを指摘。州政府と協力して犯罪摘発と組織撲滅に積極的に取り組む姿勢を明らかにした。 シドニー郊外のベトナム系住民が多く住むカブラマッタ地区では四十件の発砲事件が起きているほか、レバノン系ギャングによるヘロイン、コカインの密売事件が増大。さらにクレジットカードの詐欺や偽造へのマレーシア系ギャングの関与疑惑が浮上しているほか、南太平洋諸国出身者による強盗団の暗躍の情報が寄せられるなど、多様な背景のギャング組織が抗争を繰り広げている。 シドニー市内の治安は五輪開催に合わせて徹底的な取り締まりが行なわれたため、昨年は比較的よかったものの、五輪終了直後から再び悪化の兆しを見せており、現地警察当局は日本人を含む外国人観光客への厳重な注意を呼びかけている。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。