窮地に立つ金大中大統領

執筆者:黒田勝弘2001年1月号

対北朝鮮強硬姿勢が予想される米ブッシュ新政権の誕生で――[ソウル発]米ブッシュ政権の誕生で韓国の金大中政権が不安に陥っている。ブッシュ政権の北朝鮮に対する強硬姿勢が予想されるからだ。金大中政権は昨年六月の金大中大統領と金正日総書記との平壌空港での「抱擁」に象徴されるように、北朝鮮に対し「太陽政策(あるいは包容政策)」の名の下に宥和的で一方的な支援を進めてきた。しかしブッシュ政権とは、対北朝鮮政策をめぐって波長のズレが懸念されている。 年初に金大中大統領とインタビューしたインターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙によると、金大中大統領は「ブッシュ政権の判断錯誤により、南北和解が水泡に帰するかもしれないと憂慮」しており「ブッシュ大統領に会って自らの太陽政策を引き続き支持してくれるよう要請する計画」だという。さらに、「ブッシュ大統領に対し既存の路線を変えずに持続的な対話を支持し、金正日をコーナーに追い詰めないよう要請することを示唆した」という。 金大中政権が米国の民主党寄りだったことは周知の事実だ。それは「人権と民主化」の活動家として、「安保」や「軍事」には相対的に冷淡で、左翼・進歩派とは親近感のあった野党時代からの金大中氏の政治的歩みを振り返れば分かる。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。