当面は米国の出方を待つ中国

執筆者:2001年1月号

ブッシュ新大統領の対中人脈は意外に太いが……[北京発]北京のシンボルである故宮(紫禁城)の中に昨年秋、米国資本のコーヒーショップ「スターバックス」がオープンした。テイクアウト専門の小さな店舗で気付かずに通り過ぎる観光客も少なくない。だが、中国マスコミの一部からは例によって「五千年の文化に対する侮辱」などという民族主義的な批判が出ている。 かつてマクドナルドの出店をめぐって似たような批判が起きたことがあった。このような「民族主義」と「国際化」との衝突が産み出す“摩擦”は西側マスコミにも格好のネタとなる。当局の対応が注目を集めているが、「騒がれるようなことは避けたい」(政府関係者)というのが本音のようだ。懸案の世界貿易機関(WTO)加盟がいよいよ秒読みに入り、米国ではブッシュ新政権がスタートした。わざわざ「中国異質論」をかきたてるようなストーリーを提供するのは馬鹿馬鹿しいと考えるのは当然だ。中国には外国の反応について無神経な面があるが、それなりに学習もしている。ブッシュ氏の対中個人人脈とは「双方が戦略的な利益から出発すれば、結局は良い方向に向かうと信じている」。昨年末、マカオ返還一周年記念式典に出席した中国の江沢民国家主席はブッシュ新政権下の米中関係の行方について楽観論を強調した。クリントン政権の対中政策を批判し、「中国は戦略的パートナーではなく、戦略的競争相手」と主張してきたブッシュ新大統領だが、具体的な対応は不透明だ。まずは低姿勢で相手の出方をうかがおうというのが中国サイドの狙いだろう。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。