アップル・コンピュータやユーロ・ディズニーランド、韓国・大宇などの積極果敢な株式買収で知られるサウジアラビアの実業家ワリド・ビン・タラール王子(四三)の投資活動が新たな展開を見せ始めた。 これまで主に銀行やレジャー産業を投資対象としてきた王子は二〇〇〇年四月、米ナスダックが史上最大の下げを演じると直ちにアメリカ・オンライン(AOL)、コンパック、AT&Tなどメディア、ネット、ハイテク関連株に約十七億ドルを投資。十一月にはAOL株をさらに十億ドル分追加購入する計画を発表した。これにより王子のIT関連投資額は約九十億ドルと総資産の半分近くに達する見通し。IT産業の発展を先取りした投資戦略は、世界の市場関係者が注視している。 中東はじめ地元志向を強めているのも最近の特徴だ。ここ数年でシリアやエジプトなどで相次ぎホテル、ショッピングセンターなどの建設プロジェクトを発表、パレスチナ自治区での開発事業にも参画している。リヤド市内の中心街では、王子が会長を務めるキングダム・ホールディング本社ビルの建設も進む。地上三百メートルと中東・欧州で最も高いビルは新たなリヤドのランドマークとなりつつある。

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