「日本政治の九〇年代は、三十八年に及んだ自民党一党支配が崩壊し、新たな政治秩序を模索した十年であった。変貌する社会の中にあって、政治の舞台、装置、道具立て、そして政治を取り巻く環境――社会、メディア、テクノロジー――は大きく変化した」(鈴木美勝『小沢一郎はなぜTVで殴られたか』文藝春秋刊 一九〇五円)「料亭政治」と批判される密室談合型の永田町政治から、「テレポリティックス」(テレビ政治)に象徴される大衆誘導志向の強いオープンな政治へ――確かにこの十年間で、日本の政治スタイルは大きく変貌を遂げた。前者を「視えない政治」、後者を「視える政治」と名づけ、その政治スタイルの違いから、日米両国の政治を分析したのが本書である。永田町とワシントンの両政治都市での取材経験が生きている。 アメリカ直輸入の「視える政治」の手法を初めて意図的に取り入れたのが、九三年に自民党一党支配を崩壊に導いた細川護熙だった。APEC首脳会議でのマフラー姿、プロンプターを使った演説など、国民に新鮮な衝撃を与えた細川流「視える政治」はいかにして生まれたのか。また、本書のタイトルの由来でもある、昨年六月の衆議院選挙でのテレビCMはどのように作られたのか――などなど、政治の舞台裏の内情が綴られていく。

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