「朝銀破綻処理」に着手した金融当局の真意

執筆者:須田慎一郎2001年1月号

三千億円もの公的資金を投入したにもかかわらず、「二次破綻」してしまった朝銀近畿。これにより北朝鮮系金融機関再編構想の見直しは必至となった。本格化した「破綻処理」の行き着く先は――。 昨年末、十二月二十九日午後六時。東京・霞が関の金融再生委員会では、柳沢伯夫金融再生委員長が臨時記者会見を行ない、次のような発表をした。「本日、金融再生委員会は、金融再生法八条に基づきまして、朝銀近畿、朝銀千葉、朝銀東京、朝銀新潟、朝銀長野、朝銀福井及び朝銀愛知の各信用組合に対して、金融整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分を行ないました」 この発言内容を簡単に説明すると、朝銀信組とは北朝鮮系の金融機関なのだが、柳沢委員長がここで名前を挙げた七つの朝銀信用組合について、金融再生委員会は金融再生法に基づく破綻処理を行なうことを決定したということなのである。さらに、柳沢委員長はこう続けた。「このうち朝銀近畿につきましては、近畿財務局による十二年三月末基準の検査の結果、債務超過と見込まれまして、当該検査の結果を踏まえた本年九月末の財務状況につきまして、報告の徴求をしていたところであります。このような過程の中で、本日(十二月二十九日)、同組合より、金融再生法六十八条一項に基づきまして、業務または財産の状況に照らし預金などの払い戻しを停止するおそれがある旨の申し出がございまして、当委員会としてはこの申し出及び同組合の財務状況を踏まえまして、管理を命ずる処分を行なうことにしたものでございます」

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