「テロ支援国家」進出へ走る米メジャー

執筆者:小西太2001年1月号

ブッシュ政権誕生で高まるイラン、イラク、リビアへの投資気運[ロンドン発]「アメリカはいつイラン、イラク、リビアで動くのか」――。世界の石油業界関係者が一月下旬に発足した米ジョージ・ブッシュ共和党政権のエネルギー政策を、固唾を飲んで見守っている。元オイルマンであるブッシュ新大統領と米メジャー(国際石油資本)の親密さは誰もが知るところ。クリントン政権が、かつて「テロ支援国家」、現在では「問題国家」と名指しするイラン、イラク、リビアと欧州メジャーや中ロ石油企業の急接近を、指をくわえて見守ってきた米メジャーは、“解禁前夜”の緊張感に包まれている。八年ぶりの米政権交代とともに、エネルギーの世界地図もまた、大きく変化しそうだ。第一幕はイランから 米国エネルギー政策の戦略転換の第一幕は、どうやらイランで開きそうだ。石油・ガス田開発を外資に開放する方針を打ち出しているイランは、二〇〇一年に六つの鉱区を開放する。このほど明らかになった六大プロジェクトの入札企業のリストには、英、仏、伊などの並み居る欧州メジャーに混ざって、米メジャーのシェブロンと米エンジニアリング大手。パーソンズの名前があった。シェブロンはBP、ロイヤル・ダッチ・シェルなどとともに「サウス・パルス・ガス田」、パーソンズはシェルとともに「アグハ・ジャリ油田」の開発に参加の意向を表明している。

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