金融庁の極秘「銀行国有化計画」

執筆者:高見沢裕史2001年2月号

三月金融危機説の主役は、中央三井信託と大和銀行 金融システム危機を回避しようと、金融庁は大手銀行の新たな「国有化計画」を真剣に研究している。九九年三月に政府が公的資金注入の代償として購入した大手銀行の優先株を普通株に転換し、政府が議決権を握って銀行を買収する。金融庁内には極秘裏に検討チームが設置され、この「伝家の宝刀」を抜き放つタイミングを計っているとされる。 金融システム危機の再燃はいよいよ現実化しようとしている。銀行株は二月六日に昨年来の安値を更新し、日本長期信用銀行の経営破綻により金融システムが崩壊の危機に瀕した九八年十月の水準が視野に入ってきた。東京三菱銀行、住友銀行の株価ですら千円割れ寸前に追い込まれている。「九七年秋から九八年秋にかけて襲ってきた悪夢が甦る」と、金融庁幹部は緊張した面持ちで語る。 二月九日、日銀は政策委員会・金融政策決定会合で五年五カ月ぶりに公定歩合を〇・一五%引き下げ、年〇・三五%とすることを急遽決めた。この電撃的な利下げ発表の影響で、銀行株が一時的に反発する可能性はある。だが、所詮は弥縫策に過ぎない。バブル崩壊以降に幾度となく繰り返された金融緩和による銀行救済が再び実施されたことで、むしろ金融システムに対する日銀の危機感が明らかになった。

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