児童福祉手当拡充は序の口、公明党の坂口大臣が狙うさらなるバラマキ KSD疑惑、外交機密費流用事件などで沈没寸前の森政権。その森喜朗首相は、昨年十二月五日の内閣改造で、小渕恵三前首相もやらなかった大きな決断を下している。それは、社会保障を担当する厚生大臣ポストを、公明党に明け渡したことだ。 公明党は「福祉と平和」を看板に掲げているが、その政策は「地域振興券」に代表されるバラマキが中心。坂口力厚相も二〇〇一年度予算で、さっそく児童手当という現金給付政策の拡充に手をつけた。費用は国費で約二百四十億円と、年間十七兆五千億円の社会保障予算からすれば微々たるもの。ただ、今後、政府・与党で議論される医療保険、年金などの社会保障制度改革の中で、厚相自らがバラマキ精神を発揮すれば、すぐに兆単位の費用が必要になる。そのツケはいずれ、税や保険料の形で国民に回ってくるのだ。失敗した前回の拡充策 児童手当拡充を公明党が求めたのは、今回が初めてではない。一昨年の二〇〇〇年度予算編成でも、公明党の要求を自民党が受け入れる形で実現している。 児童手当は、子育てをする若い世代を支援する現金給付制度だ。当初は、三歳未満を対象に、第一、二子はそれぞれ月額五千円、第三子以降は一万円を支給していた。所得保障の側面が強く、支給対象は低所得層。一九九九年度まで、扶養親族が配偶者と子供二人の場合、自営業者なら年収四百三十二万五千円未満、サラリーマンは六百七十万円未満が支給対象だった。

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