国軍のエストラダ大統領支持撤回に続き、相次ぐ閣僚の辞任。「ピープルパワー」でマルコス大統領を追放した一九八六年二月の「エドゥサ革命」から十五年。歴史は再び繰り返された。不透明な弾劾裁判の行方に業を煮やした市民数十万人がエドゥサ大通りに集まった「ピープルパワーII」を前に、エストラダ大統領は任期半ばで辞任を余儀なくされた。 一月二十日午後、グロリア・マカパガル・アロヨ副大統領(五三)が新大統領就任を宣言。再び盛り上がった「ピープルパワーII」は、前回に続いて奇しくも二人目の女性大統領を生み出した。父親のディオスダド・マカパガルは第五代大統領。フィリピン史上初めての親子二代の大統領である。 就任直後のインタビューでアロヨ大統領は、「自ら見本を示すことで指導していく」と語っている。発足後、「政府職員、機関と大統領の親族との取引を禁止する」との政権通達第一号を発令し、何かにつけて親族やクローニー(取り巻き)の介在が非難された前政権からの決別を示したのも、その現れだろう。しかし、約千四百億ペソに上る財政赤字をはじめ、首都圏のごみ問題などの難問が待ち構えている。九七年のアジア通貨危機以降、冷え込んでいる外国投資をいかに回復させるかなど、政界入りするまで大学で経済を教えていたアロヨ大統領の手腕に大きな期待がかかる。

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