総崩れの自動車「ビッグスリー」

執筆者:上田春樹2001年2月号

再編競争では勝ったはずだったが、景気減速で一気に劣勢に[ニューヨーク発]景気減速が鮮明になった米国で、自動車ビッグスリーが総崩れ状態だ。二百億ドル以上の資金を駆って欧州やアジアの自動車ブランドを買いあさっていたのは、ほんの一年前。ゼネラル・モーターズ(GM)やフォードモーター、ダイムラークライスラーは自動車再編の勝者だったはずだが、新車バブルの終焉で、あっさりと国際競争力のなさを露呈してしまった。「聞かないでくれ。利益を守るのに精いっぱいなんだ」。一月八日、北米国際自動車ショー(デトロイト)の初日に姿を見せたGMのリチャード・ワゴナー社長兼最高経営責任者(CEO)は、著しいシェア低下の原因を聞かれ、質問を遮った。GMの二〇〇〇年のシェアは史上最低の二八・一%。満を持して発表した小型のSUV「アズテック」は期待を裏切り、三年前まで高級車ブランドでトップだった「キャデラック」も五位に低迷した。 フォードも状況は同じだ。主力車「エクスプローラー」は、五百五十万本ものタイヤリコール(無料の回収・交換)を出したブリヂストン・ファイアストン問題の影響もあって不調。傘下のマツダと共同開発したSUV「エスケープ」も五回にわたってリコールを出すなどトラブル続きだった。ジャック・ナッサー社長兼CEOは自動車ショーで一切の質問を拒み続けた。

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