米英がイラクへの空爆を実施した理由のひとつとして、光ファイバーを利用したイラク防空網の建設工事に中国が関与していた疑いが指摘されているが、その中国企業名が明らかになった。広東省深セン市内にある中国政府系企業「華偉グループ」。一九九〇年代初めに創設され、従業員一万人以上を抱える通信関連の大手ハイテク企業だ。ただ、同企業は株式の所有形態など内部情報が漏れることを嫌って、上海と深センにある国内二カ所の株式市場に上場することを拒んでいると言われる。 中国の唐家セン外相は先の全人代での記者会見で、「関係部門が調査したが、関与していた中国企業は存在しなかった」と全面的に否定。しかし、地元バグダッドのアラブ系外交官の間では、中国企業が光ファイバーの建設工事に携わっているのは有名な話と言われる。バグダッドで最近、中国人の姿がめっきり増えているとの証言も多い。 今回、唐外相が正式に否定したことで、米国の対応が注目されるが、空爆までに数回、ブッシュ政権は中国に善処を申し入れていた。米国はすでに中国企業関与の確証をつかんでいると見られるだけに、今後の米中関係は一層複雑になった。

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