ミャンマー軍事政権の序列四位だったティン・ウ第二書記の事故死をきっかけに、同軍政内では序列二位の強硬派マウン・エイ副議長と同三位で穏健派のキン・ニュン第一書記との権力闘争が激化している。 近く引退がうわさされる軍政トップのタン・シュエ議長の後継争いで有利に立つため、死亡したティン・ウ第二書記が兼任していた参謀総長と国防省特別作戦本部長のポストを獲得しようと副議長派と第一書記派が躍起になっている。ヤンゴンの消息筋によれば、両派ともスパイを使い、脅迫や武力による威嚇はもとより、カネをばらまく陰湿かつ壮絶な暗闘を演じているという。 当初はマウン・エイ副議長の次期議長就任がほぼ確実とみられていたが、キン・ニュン第一書記がここにきて大きく巻返し、完全に互角か、若干有利な状況に立ちつつある。同第一書記は穏健派とされるものの、外交・情報部門を牛耳っており、相手の弱みを握るのに長けていることが理由のようだ。 最大野党・国民民主連盟のアウン・サン・スー・チー書記長との対話路線で、米国の支持を取りつけようとしているのも、同第一書記の巧妙な戦術と、同消息筋はみている。

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