松尾克俊・元外務省要人外国訪問支援室長の機密費事件に絡み、興味深い「怪文書」が二種類、永田町や報道機関に出回っている。 一つは「この数年間で最も多額な機密費が使われたのはペルーの日本大使公邸占拠事件。この時の残金が不正に松尾の口座に蓄積された」というもの。事件当時、元室長が現地で後方支援に当たり、ある局長が「機密費を扱う事実上の最高責任者だった」としたうえで、「ペルー事件が終結した一九九七年に松尾が口座を開設したのは、この残金を蓄積するためだった」と指摘している。 もう一つは「機密費流用に関わったとされる官僚リスト」。外務省十二人、警察庁二人の計十四人の官僚名が記され、うち三人には「逮捕予想人物」の印がついている。興味深いのは、文書が公安当局からの聞き書きのスタイルをとっていること。警察関係者は「実は公安当局は、四年前に週刊誌に疑惑を報じられて以降、この問題をウォッチしていた」と明かした上で、文書を手に「公安のリストと同じ内容だ」という。 いずれも内部事情に通じた関係者が作成したとみられる「怪文書」。機密費事件で軋んでいるのは自民党だけでなく、霞が関も同様だ。

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