今回の株価下落の元凶として「日経平均株価リンク債」が注目を集めた。株価が下がると商品開発した証券会社(外資系が中心)が儲かる仕組みのため、下げ局面では先物に大量の売りを浴びせる手口が目立ち、金融庁や証券取引等監視委員会は神経をとがらせているが、実体を掴むのは事実上不可能のようだ。 監視委は先に同じデリバティブの仕組みを利用した個人向け金融商品の他社株転換社債(EB)をめぐり、意図的に株価を下げて投資家に損害を与えたとして外資系二社のトレーダーを処分するよう金融庁に勧告した。金融庁も「リンク債がらみの不公正な取引には厳正に対処する」(柳沢伯夫金融担当相)と警告したが、この発言が伝えられると売りはさらに加速、EB「摘発」の勢いを借りた「口先介入」は不発に終わった。 ある米系証券のトレーダーは「個別銘柄の値動きだけチェックすれば良いEBと違って、リンク債は二二五銘柄すべてを調査しなくてはいけない。人員の少ない監視委がリンク債がらみで処分勧告を出すのはほとんど不可能」と解説する。株価の下げは、監視委が外資系証券に足元を見透かされていることも一因といえそうだ。

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