今夏の参議院議員選挙で国土交通省は、自民党の比例名簿に二人のOBの名前を載せる。旧建設省河川局長の岩井國臣氏(昭和三十七年入省)と旧運輸省総務審議官の藤野公孝氏(昭和四十六年)で、一つの役所に統合されたとはいえ、旧建設省と旧運輸省は全く別立てで選挙戦に臨む。 現在、自民党の旧建設省出身議員は衆議院七人、参議院九人。これに対し旧運輸省出身は衆議院に二人と劣勢なだけに、国土交通省の主導権争いも絡んで、旧運輸省の藤野氏への力の注ぎぶりは近年では例を見ないほどだ。「カリスマ料理研究家」として一部に熱心なファンを抱える夫人の藤野真紀子氏のホームページにもリンクが張られるなど、選挙戦は早くも過熱気味の状態である。 旧運輸省系では、前海上保安庁長官の荒井正吾氏(四十三年)が出身地の奈良選挙区で自民党から出馬する方向で準備中だという。同選挙区現職の吉田之久氏が引退する民主党は、昨年の衆院選で落選した旧建設省技官出身の前田武志氏(三十九年)を擁立する予定で、国士交通省OB同士の一騎打ちになる可能性が高い。 また、旧運輸省系の国土交通省総合政策局情報管理部長・寺前秀一氏(四十七年)も自民党から出馬するのではないかと噂されている。財務省、経済産業省では若手、中堅が民主党から出馬する傾向が強まっているが、旧運輸省は自民党からの出馬と対照的だ。

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