この一月に高木勇樹事務次官(昭和四十一年入省)が退官し、熊澤英昭農林水産審議官(四十二年)が新次官に就任した農林水産省だが、二年半という長期にわたった高木政権が同省に残したダメージは大きい。 今回の次官人事に関しては高木賢前食糧庁長官(四十二年)が昇格するという見方もあったが、結局は高木氏により近いといわれる熊澤氏に引き継がれることになった。霞が関では、高木氏が農水省に影響力を残したことを懸念する声が高いが、もう一つ注目されているのが昨年秋に同省のホームページ内に設置された「各種報道に対する農林水産省の考え方」と題したコーナーの扱いだ。新聞、テレビ、雑誌などの同省に関する批判的な報道に対して、同省が各メディアに送りつけた抗議文をインターネット上に公開したモノで、中央省庁としては極めてエキセントリックな対応だった。一説にはこのコーナーは高木前次官の強力な意向で設置されたともいわれ、こうした見方を裏付けるように高木氏が退官して以降、このコーナーの更新も減っている。 他ならぬ本誌に関しても、昨年五号掲載の「解剖日本の組織・農林水産省構造改善局」に対する抗議文が公開されている。これに対してレポートを執筆したジャーナリストの生田忠秀氏および本誌編集部は、昨年十二月に同省に対して反論を送った。同省は「公正を期すため反論があればネット上に掲載する」としていたにもかかわらず、その後すでに三カ月が経過した三月十一日現在、この反論はいまだに同省のホームページに掲載されていない。

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