機密費流用事件で逮捕された元外務省要人外国訪問支援室長、松尾克俊被告に、「大物ヤメ検弁護士」がついたことが分かり、関係者の間でさまざまな憶測を呼んでいる。 この弁護士は五木田彬氏。元東京地検特捜部検事で、検察の東西交流で大阪地検特捜部にも所属したことのある実力派。押し出しの強いタイプで、証券会社の利益供与事件やゼネコン汚職事件などの弁護活動も担当してきた。 問題は、誰が五木田弁護士を松尾被告に紹介したか。「五木田氏は一介のノンキャリア官僚が担当を依頼できる存在ではない」(関係者)からだ。「霞が関の有力者、特に外務省上層部あたりが根回ししたのではないか」との見方がもっぱらなのだ。 これを気にするのが、詐欺だけで事件を終わらせたくない警視庁の現場の捜査員たち。沖縄サミットをめぐる松尾被告と業者の癒着を調べ続けている捜査員の一人は「五木田はやりにくい相手。法廷だけでなく、捜査段階の駆け引きもうまい。あれだけのらりくらりとかわしてきた松尾が急に容疑を認めたのも、『詐欺は認めさせる。だから事件を延ばすな』と警察上層部と話がついてしまったからではないか」と心配顔だ。

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