コンビニが危ない

執筆者:2001年4月号

ファミリーマート、ローソンの経営に乗り出した「商社ビジネス」に高まる懸念 つい最近まで流通業界の中で「勝ち組」集団と位置付けられていたコンビニが危機にある。流通・小売業界では、多額の負債を抱えるダイエー、マイカルの経営危機説が燻っているが、コンビニはもう一つの弾薬庫だ。「経営陣は一体何をしているのか」。今年二月初旬、モルガン・スタンレー・ディーン・ウィッター証券のアナリスト清水倫典氏が作成した、業界三位・ファミリーマートに関するレポートの表題である。同社の既存店舗の売上高は低迷が著しい。それにもかかわらず、新規出店の大幅抑制と非効率店舗の積極的な閉鎖、経営陣がリーダーシップを取った組織面・営業面での抜本的改革といった必要な施策が行なわれていないことが指摘されている。 それから約一カ月後、ファミリーマートの経営陣は“答え”を出した。「不振店舗を整理して業績を立て直していきたい」。二月二十六日、ファミリーマートの田邊充夫社長は、二〇〇二年二月期に全店舗の約一割にあたる五百店舗の閉鎖を柱とする事業計画を発表。「経営構造改革を断行し、各店舗の質の転換を図る」と宣言した。関係者によると、閉鎖されるのは一日当たり売上高(日販)が三十万円を下回る店舗だという。業界一位・セブン-イレブン・ジャパンの平均日販約六十九万円に対し、ファミリーマートは四十九万円。共に営業拠点を首都圏に置く両社ながら、二十万円もの差が出来てしまっている。確かに改革が急務であることは間違いなかった。

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