絶好調「ユニクロ」に死角はないのか

執筆者:出井康博2001年4月号

デフレ時代の小売の旗手として快進撃を続けるユニクロ。今期の売上げは昨年から大幅に伸びて四千億円を超えるという。さらに、秋にはロンドンに支店をオープン、海外進出にも乗り出す。そんな中、一方で「ユニクロ限界説」が囁かれ始めてもいる――。 三月二十四日は、「ユニクロ」にとって記念すべき一日となった。山口県に本社を構え、かつては街道沿いの安売り店としか見られていなかったカジュアル衣料専門チェーンが、日本で最も地価の高い街、東京・銀座へと進出したのである。 場所は三越、松屋、松坂屋といった老舗デパートが軒を連ねる中央通り沿いのファッションビル「ニューメルサ」。オープン当日の土曜日午後、高級ブティックが並ぶ他フロアが閑散としているのを尻目に、ユニクロの入った五階ワンフロア、二百坪の売り場だけが大変な賑わいを見せていた。 試着室に二十人ほど、レジには四、五十人の順番待ちの列ができている。客層は若者と中高年が半々といったところ。買い物かごを覗くと、いかにも近隣の高級デパートにいそうなマダムたちまでもが、色違いで二着、三着とシャツやパンツを買い込んでいる。マスコミで繰り返し報じられた、あのユニクロブームは今も健在なのだろうか。

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