「橋本の時代は終わった」との声も――[ワシントン発]きたる四月二十四日、自民党の総裁選が行なわれ、新しい日本の首相が選出される。本来、これはアメリカにとっても大きな関心事だ。アジア地域のみならず、世界の安定と経済を考えるうえで、誰が日本の指導的地位につくかは極めて重要な問題だからだ。 ワシントンは、新しい首相が日本の経済改革の行き詰まりを打破して経済を立て直し、中国や北朝鮮との関係をめぐって緊張の度を増すアジアの安全保障に関しても、日本に応分の役割を果たして欲しいと願っている。経済と安全保障の両面における米国の緊密なパートナー――これが、ブッシュ政権の望む日本像だ。 アメリカ自身の国益を考えるうえで、日本の首相が誰になるかは重要なことであるのは間違いないのだが、一方で、政府高官やいわゆるジャパン・ウォッチャーたちに「意中の候補」がいないという皮肉な状況も生まれている。ブッシュ政権の誰一人として、取り沙汰された首相候補の中に、親しい友人や外交上のつき合いのある人間がいないのだ。結果として、自民党総裁選への関心は驚くほど低い。「絶対この人がいい! という強い意見はほとんど聞かない」と語るのは、あるホワイトハウス関係者だ。

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