リマの外交筋やマスコミ関係者の間では、五月のペルー大統領決選投票後に軍がクーデターを起こすのではないかとささやかれている。 これは、決選投票で二人の有力候補である「可能なペルー」のトレド氏、「アメリカ革命人民同盟」(アプラ)のガルシア氏のい、ずれが当選しても得票率が低く、政治の混迷は必至と予想される中、若手将校の間で「国家を救うため軍部が決起すべきだ」との声が出始めているためだ。若手将校らは、一九七五年自らクーデターで政権を掌握、八〇年に民政移管を実現したモラレス・ベルムデス元将軍を担ぎだそうと画策しているとの観測もある。 ベルムデス元将軍は、トレド候補が政権をとった場合には極左ゲリラの台頭を抑えることは不可能と判断。一方、ガルシア候補については、軍とアプラが伝統的に敵対関係にあることから容認できないとし、「軍が国家に尽くすべき時が迫っている」と訴えている。 ただ、元将軍は八十歳と高齢のため、本人は決起の指導者になることには消極的とされる。リマの消息筋は「決選投票でどの候補も支持しないとする白票ないし無効票が五〇%近く出れば、軍部決起の公算が大」としている。

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