ユーゴスラビア政府が米国の要求通りミロシェビッチ前大統領の逮捕に踏み切ったことで、米国からの五千万ドルの経済援助が入ることになったが、この動きに呼応するようにイスラエルがユーゴに接近、巨額の利益を得ようと躍起になっている。 イスラエルは四月、前大統領が逮捕された直後に内戦で疲弊したユーゴに人道的援助として医薬品や医療器具を送りこんだ。五月に入るとイスラエルのリブリン通信相はユーゴの電信電話事業に協力すると表明。長年の内戦で世界から取り残された携帯電話とインターネットを普及させたいと述べた。ユーゴの携帯普及率は一二%、インターネットのそれは二%で、これをイスラエル得意のハイテクをもって立て直すのが取り引きの主眼だ。 ユーゴは米国からさらに追加援助を供与される見込みだが、イスラエルはそれを視野に入れて「最終的にはユーゴに武器を輸出するもくろみ」(欧州の軍事筋)とみられている。イスラエルは早期警戒レーダーを中国に売却しようとして米国から阻止されたが、「ユーゴに対してはもっと慎重に商談を進めるだろう」(同筋)といわれ、周辺国は警戒を強めている。

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