「鉄の女」の復活はあるのか

執筆者:2001年5月号

 サッチャー元英首相が政界復帰に意欲を見せているとの情報がある。ロンドンの外交筋によれば、「鉄の女」復活説がささやかれ始めたのは、退任後十年に当たる昨年十一月、英紙が一斉に「サッチャー特集」を掲載してから。親欧州路線に傾くブレア現政権を「英国の独立性を無視している」と徹底攻撃、マスコミは「『鉄の女』の存在感は依然大きい」と持ち上げた。 これに気をよくしたサッチャー氏をさらに勇気付けたのは、今年二月クウェートで開かれた湾岸戦争の多国籍軍勝利十周年の解放記念式典。各国首脳が参列した式典で同氏はブッシュ元米大統領とともに、「冷戦後の最重要政治家の一人」(クウェート紙)として改めてクローズアップされた。ブッシュ氏からは「国際舞台で英国の役割を果たせるのは、あなたしかいない」と、エールを送られ、政界復帰への意欲をかきたてられたようだという。 しかも、出身母体の英保守党はブレア首相の労働党に支持率で大差を付けられているうえ、党内は権力闘争でガタガタで、「サッチャー再登板」を望む声もある。「鉄の女」がカムバックに乗り気になっても不思議ではない情勢なのだ。

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