当面の政局の焦点は、小泉純一郎首相がこの夏、衆参同日選挙に打って出るかどうかになっている。首相の決断のかぎを握るのが発足直後は八〇%台を誇った内閣支持率の推移だが、目玉人事だったはずの田中眞紀子外相の奔放な言動が小泉政権のアキレス腱になりつつあるとあって、頭の痛いところだ。 首相は五月十一日夜、首相公邸で、山崎拓幹事長、堀内光雄総務会長、麻生太郎政調会長、竹山裕参院議員会長、青木幹雄参院幹事長の党五役と会食し、衆参同日選の可能性について「ダブルはやらない。全然考えていない」と否定した。首相は戦略上、参院選に勝てば次期衆院選も小泉首相の下で戦いたいという空気が党内に生まれ、それまでは政局運営の主導権を握ることができると見ているという。前回の衆院選から一年しか経過していないうえ、連立を組む公明党の神崎武法代表や保守党の扇千景党首が同日選に反対していることも大きい。 しかし、首相が同日選に否定的という情報を鵜呑みにする向きは党内外に多くない。青木氏が同日選は参院選に有利と主張しているだけでなく、自由党の小沢一郎党首、民主党の熊谷弘幹事長代理は同日選への準備指令を党内に出している。 仮に同日選に持ち込むなら、高い支持率が首相の頼みだが、気掛かりは田中外相のわがままぶりによる混乱だ。今後も外交に支障が出るようなら、首相の任命責任が問われるだけでなく、本格的な選挙戦を前に石原伸晃行革担当相と並ぶ人気弁士を失うことにもなりかねない。

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