一方、小泉純一郎首相が衆参同日選挙に踏み切るか否かは、民主党首脳の思惑の違いも露呈させている。 熊谷弘幹事長代理は「六月の都議選で自公が躍進すれば当然同日選挙の誘惑に駆られる。最も有利な時期に不意打ちで選挙戦を戦うのは常道」と警戒する。寄り合い所帯の民主党が求心力を保つには選挙で勝つことしかなく、同日選を仕掛けられての敗北は党分裂につながるとの危機感があるからだ。参院選のみでも負ければ、自民党は羽田孜グループなど保守系議員の抱き込みを図る可能性が高い。 ところが、菅直人幹事長は同日選で自民党が勝っても得するのは橋本派だけと「小泉の選択としてあり得ない」とタカをくくり、むしろ小泉改革の推進は自民党の分裂を早めると強調している。北澤俊美参院幹事長も「小泉をいじめれば高支持率は逆に継続する」と、党内にある首相の集団的自衛権や靖国公式参拝を材料にした主戦論を牽制する。誘いに乗れば「自民党タカ派の思う壺。安保で選挙は勝てない」というわけだ。 こうした思惑の違いに加え、民主党には鳩山由紀夫代表の不人気という大問題もある。鳩山氏の不人気は如何ともし難く、仙谷由人企画委員長も「遠くから眺める富士というが、鳩山さんは近くで見ても遠くから見ても人気が出ない」とさじを投げる始末だ。

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