小泉首相の手法は「ポピュリズム」か

執筆者:伊藤幸人2001年6月号

 首相就任から2カ月近く、内閣支持率80%以上という「小泉人気」はとどまるところを知らない。「田中眞紀子外相」という爆弾を抱えているため、ある日突然に人気凋落という可能性も否定できないが、そこさえクリアできれば、高人気のまま7月の参議院選挙に突入しそうな勢いだ。 そんな中、小泉首相の政治手法はポピュリズム的ではないかという批判が各方面から高まっている。確かにその傾向・兆候はある。ハンセン病訴訟の控訴取り止め決定に見せた類稀なパフォーマンスや、「聖域なき構造改革」などコピーライター顔負けのキャッチフレーズの連発。テレビ政治の時代を意識しつつ、多くの国民の心をつかむ術を小泉氏は体得しているようだ。 だが、これだけで小泉首相をポピュリズム的と批判するのはやや一面的ではないだろうか。そもそも単に国民的な人気が高いというだけでは、必ずしも「ポピュリズム」とは断定できないはずだ。「ポピュリズム」は語源的には、1890年代のアメリカで、共和・民主の既成2大政党に対抗する形で、農民・労組を支持母体に誕生した人民党(Populist Party)に遡る。最近では、大衆迎合的な人気取り政治、特に、経済合理性にかなった政策を避け、バラマキ福祉に傾く政策を指して使われるケースが多い。

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