国益なき“外務省バトル”の行方

執筆者:藤村幹雄2001年6月号

外相と主流派外務官僚、更迭はどちらが早いか 田中眞紀子外相と外務官僚の対立は、外相の反米発言などが次々にメディアに暴露され、外相が法的措置に言及するなど、凄惨なバトルの様相を呈してきた。外務官僚には、小泉純一郎首相の改革に抵抗する自民党反小泉勢力が加担、田中外相は外務省非主流派の支持を得ているとされ、複雑な展開となっている。両者の和解はもはや不可能であり、外相更迭と川島裕外務次官ら歴代次官の辞任のどちらが早いかというチキンゲームだ。 外相も外務官僚も、この醜いバトルを通じて、日本外交の威信、信用が失墜していることに気付いていない。「うそが一番いけない。むしろ、ああいう発言が漏れたことで、ある意味で国益が守られたことになる」 六月八日の自民党総務会で、外務省の混乱が議論された時、外務省のドンといわれる鈴木宗男前総務局長が激しい外相攻撃を展開した。外相に近い栗原博久衆院議員ら若手は「こういう情報が出ることは外交交渉にとってマイナス」と情報漏洩を批判したが、鈴木氏はさらに続けた。「(田中外相は)報道が誤報というが、誤報でなかったら、職を辞する覚悟はあるのか。本当に誤報であるなら、わたしがバッジを外してもよい」

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。