ロシアのカシヤノフ首相の解任が時間の問題となってきたとの見方がモスクワでは有力になっている。 カシヤノフ氏は元々、エリツィン前大統領の取り巻きの一人。経済官僚出身で財政運営や対外債務交渉が得意だったことなどから、首相のポストを維持してきたが、就任一年余りを経過し、長期安定政権に向け独自色を強めるプーチン大統領にとっては「もはや御用済みのエリツィン・ファミリー」(クレムリン筋)との声が強い。 モスクワの外交筋によれば、三月の内閣改造の際、他のエリツィン・ファミリーの閣僚とともに更迭されるはずだったが、プーチン大統領に忠誠を誓って首がつながった。ところが、最近、エリツィン氏や政商ベレゾフスキー氏と依然、緊密な関係にあることが発覚、プーチン大統領の怒りを買ったといわれる。 プーチン大統領は自らの出身母体である旧KGB関係者やサンクトペテルブルク出身者で側近を固めつつある。大統領は五月末、クレムリンで報道陣を前に、カシヤノフ首相の仕事ぶりを露骨に批判し、「異例のケース」として報じられたが、「首相解任の予告で、いずれ正式発表が行われるのは間違いないだろう」(クレムリン筋)と予測する向きが多い。

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