住友信託銀行と中央三井信託銀行の合併がいよいよ秒読み段階に入った。これまで三井グループ内での立場がはっきりしなかった中央三井信託では、旧中央信託のトップだった平川英宇副社長が退任する。「行内の力関係は完全に三井信託優位になった」(中央三井信託幹部)ため、三井住友銀行との距離が縮まった。早ければ、今年秋にも合併で基本合意するとの見方も有力だ。 しかし、合併へのハードルは高い。まず両行合わせて七千五百億円の公的資金は収益力からみて負担が重過ぎる。中央三井信託が抱える旧北海道拓殖銀行の店舗も重荷だ。「中央三井の店舗の半分はリストラしなければ合併できない」(住友信託幹部)との声もある。一方、「住友信託の拡大志向も障害になりかねない」(中央三井信託幹部)との懸念もある。住友信託は中央三井信託にとどまらず、都銀で唯一信託部門を持つ大和銀行も巻き込んで「大信託連合」構想を抱いているという。三井住友銀行に対抗できる存在になるという野望を持つ幹部も多いとされ、三井住友銀行に接近したい中央三井信託側は戸惑っている。旧中央信託の母体である東海銀行や第一勧業銀行などとの関係も不透明で、信託版三井・住友連合は曲折も予想される。

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