議決権行使の助言サービス市場で世界シェア六五%――ISSのビジネスが日本で本格化してきた。 日本の株主総会が変わり始めているのは間違いない。経営陣と株主との懇親会を盛大に開いたり、ネットで総会の内容を公表するなど、開かれた総会をアピールすることは「株主尊重」の演出として一種の流行となりつつあるかのようだ。その一方で、これまで質疑応答がほとんどない「しゃんしゃん総会」が恒例だった企業でも、個人投資家が「取締役の数が多すぎる」「社外取締役がいないのはなぜか」といった質問を経営陣に浴びせるシーンが目立つようになった。「モノ言わぬ株主」を前提にした日本のコーポレートガバナンス(企業統治)は、歴史の転換点を迎えているのだろうか。口を出せ! それは株主の手で、投資先企業を変える唯一の方法なのである――。そんなスローガンが聞こえてきそうなこの動きを、強く後押ししている組織がある。米メリーランド州ロックビルに本拠を置く、インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシズ(ISS)だ。すべては一冊のマニュアルに…… もっともこのISS、別に啓蒙活動を宗としているわけではない。議決権行使を通じて株主価値を向上させるノウハウを、商品化して売っているのである。米フォーチュン誌は、今年二月五日発売号で「ウォール街の新しい実力を御紹介」といった記事を掲載し、その影響力の大きさを指摘している。

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