疑惑が取り沙汰されながら証拠がつかめず、野放し状態になっていた「北朝鮮工作船の日本漁船転用説」。今回、警視庁が北朝鮮ルート摘発にこぎつけたが、水面下で黒衣的役割を果たしてきた海上保安庁と「大ゲンカ」を繰り広げている。「あんたのところがべらべら喋っているんだろう!」。立件までの経緯を細かく報道する新聞をたたきつけ、警視庁公安部外事二課幹部は海保幹部をこう怒鳴りつけたという。事件をさらに延ばして北朝鮮当局に結びつけたい警視庁としては隠密捜査を予定していた。しかし新聞には端緒から手口まで書かれており、「海保が喋っている」と勘ぐったわけだ。 一方、海保側は警視庁の高圧的な態度に反感を強めた。「容疑の船の不審点を見抜き、インドネシアに輸出するといいながら朝鮮半島に向かったのを確認したのは海保。摘発のお膳立ては海保が整えたといっていい。海保とすれば『この事件は自分たちがやった』という自負があるから、警視庁の態度に腹を立てたのです」(関係者)。よほど腹に据えかねたのか、海保はその後、独自の「記者会見」を開き、容疑船の写真を配布。こんなことで肝心の捜査は大丈夫かと記者たちに心配される始末だ。

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